バイオマスプラと生分解性プラの違いは?”生分解性プラスチック”を徹底解説

2021/03/23
環境製品
#商品開発部#SDGs#環境にやさしい#生分解性プラスチック#オリジナル
バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックの違い

・バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックって何が違うの?
・どちらも植物由来のプラスチック!?


2020年7月よりレジ袋の有料化がスタートし、マイバッグを持参して買い物へ行くことが当たり前となってきました。

プラスチック使用量を減らしていこうという動きが日本中に広まっていますが、石油由来のプラスチックに代わる素材として「バイオマスプラスチック」や「生分解性プラスチック」という言葉を耳にするようになりました。

なんとなく環境にやさしいイメージはあるものの「バイオマスプラスチック」と「生分解性プラスチック」の違いは?実際にはどういったものか分からない、という方も多いのではないでしょうか。

この記事では、生分解性プラスチック製品を15年以上に渡って販売している株式会社キラックスの商品開発部 専任担当者が、バイオマスプラスチックと比較して「生分解性プラスチックとは?」を解説しています。

この記事をお読みいただければ、バイオマスプラスチックと 生分解性プラスチックの違いを詳しく知ることができ、あなたの今後の生活にお役立ちいただけることでしょう。

 

◎廃棄されるお米を使った日本初の国産バイオマスプラスチックを使った商品紹介はこちら↓↓
https://www.kiracs.co.jp/blog/4174/

◎海洋生分解性プラスチックについてはこちら↓↓
https://www.kiracs.co.jp/blog/2163/

1. そもそもレジ袋有料化って何?

1-1. レジ有料化の背景にあるもの

2020年7月1日に始まったレジ袋有料化ですが、レジ袋の使用削減の動きが強まった背景には次のような理由があります。

第一に、国際社会の脱石油・脱プラスチックの広がりが大きく影響しています。レジ袋の原料である石油の使用量を減らし、プラスチック製品の使用を少なくしていこうという動きです。また、ごみを出さないサーキュラーエコノミー(循環型経済)の考え方も世界に広がりつつあり、資源を可能な限り保持し、廃棄物の発生を最小限に抑えようとする流れになっています。

環境問題解決のきっかけ作りとして、レジ袋の使用量を減らそうという取り組みが始まったのです。

1-2. レジ袋有料化の概要とは

レジ袋有料化について簡単にお伝えすると、このような内容になります。

「お店でレジ袋を使用する際は、お客様からお金をいただいて販売する形をとってくださいね。」
→お金を出してレジ袋を買う人は少ないですよね?
→レジ袋の使用量が減りますよね?

ということです。普段何気なくもらっていたレジ袋を、購入してまで使用したいかどうか、私たち一人ひとりが考える機会になります。そこで、レジ袋の使用量を減らすために、“有料化する”という措置をとっているのです。

経済産業省によると、レジ袋有料化の対象事業者は、“プラスチック製買物袋を扱う小売業を営む全ての事業者”となっています。具体的には、衣服や身の回り品、飲食料品、自動車部品、家具や機械文具、医薬品・化粧品、書籍・文具、スポーツ用品・がん具・娯楽、楽器、たばこ・喫煙具などの小売業が対象であると明記されています。つまりは、私たちが生活に欠かせない衣・食・住に関わるアイテムを購入し、持ち運ぶために使用するレジ袋がすべて有料となる、ということなのです。

有料化の対象となる買物袋は“持ち手のついたプラスチック製買物袋”であり、紙製の袋、布製の袋、持ち手のない袋は対象外となっています。
価格設定や売り上げ用途は事業者に委ねられていますが、1枚の単価が1円未満の場合は有料化にならず、1円より高い価格設定をすることが求められています。

1-3. 有料化の対象外となるレジ袋があるって本当?

実は、“持ち手のついたプラスチック製買物袋”の中でも、有料化の対象外となるものがあるのです。それが下記の3つです。

①プラスチックのフィルムの厚さが50マイクロメートル以上のもの 
 【理由】繰り返しの使用が可能であり、プラスチック製買物袋の過剰な使用抑制に寄与するため

②海洋生分解性プラスチックの配合率が100%のもの
 【理由】微生物によって海洋で分解されるプラスチック製買物袋は、海洋プラスチックごみ問題対策に寄与するため

③バイオマス素材の配合率が25%以上のもの
 【理由】植物由来がCO2総量を変えない素材であり、地球温暖化対策に寄与するため

上記に該当するレジ袋は有料化の対象とならないため、環境にやさしいというイメージが持たれています。それでは「海洋生分解性プラスチック」「バイオマス」とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。

2. バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックの違いは?

2-1. 生分解性プラスチックとは何を意味するのか

そもそも「生分解」とは、“バクテリアや菌などの微生物が分解することができるもの”という意味を持っています。

1989年、生分解性プラスチック研究会は、生分解性プラスチックを「自然界において微生物が関与して、環境に悪影響を与えない低分子化合物に分解されるプラスチックである」と定義しました。さらに、1993年のアナポリスサミットでは、「生分解性材料とは、微生物によって完全に消費され自然的副産物(炭酸ガス、メタン、水、バイオマスなど)のみを生じるもの」と再定義されています。

つまり生分解性プラスチックとは、“微生物によって分解され自然に還るプラスチック”のことを表しているのです。

2-2. 海洋生分解性プラスチックとは

微生物によって分解されるプラスチックを「生分解性プラスチック」と呼び、さらに海の中にいる微生物によって分解できるプラスチックのことを、「海洋生分解性プラスチック」と呼びます。
つまり、レジ袋有料化の対象外となる「②海洋生分解性プラスチックの配合率が100%のもの」は、微生物によって完全に海に還ることができ、環境に悪影響を及ぼさないため、レジ袋として使用しても良いという判断になっているのです。

【追記】海洋生分解性プラスチックを使用したレジ袋が完成しました。詳細はこちら↓↓
https://www.kiracs.co.jp/blog/2163/

2-3. バイオマスの意味と種類

「バイオマス」とは、「動植物から生まれた再利用可能な有機性の資源」であり、石油などの化石燃料を除いたものを表します。バイオマスの種類は主に3つに分類されます。

【廃棄物系バイオマス】廃棄される紙やプラスチック・家畜排泄物・食品廃棄物・建設廃材・下水汚泥など
【未利用バイオマス】稲わら・麦わら・もみ殻・間伐材・飼料作物など
【資源作物】資源としての利用を目的に栽培される植物(さとうきび、トウモロコシなど)

レジ袋有料化の対象外となる「③バイオマス素材の配合率が25%以上のもの」は、さとうきびやトウモロコシなど再利用可能な資源から作られているため、100%石油から作られたものに比べ、資源を節約しているということになります。また、植物から作られているため温暖化の原因となる二酸化炭素の排出を抑えることができます。そのため、レジ袋有料化の対象外となっているのです。

2-4. バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックは別物だった!?

しかし、原料が植物由来のバイオマスであっても生分解性があるとは限りません。バイオマス素材100%のレジ袋だからといって、自然に還ることができるわけではないのです。バイオマス“原料”を表し、生分解性とは“性質”を表しているのです。

反対に、生分解性プラスチックの中にも、原料がバイオマス由来ではなく石油由来のものも存在します。つまり、バイオマスプラスチック素材全てに生分解性があるわけではなく、生分解性があるからといってバイオマス素材であるとは言えないのです。

日本バイオプラスチック協会は、植物生まれのバイオマス素材を「バイオマスプラ」自然に還る生分解性プラスチックを「グリーンプラ」「生分解性プラ」(※)とし、それぞれに識別表示制度を制定しました。レジ袋などの製品にシンボルマークを印字することで、私たち一般消費者に素材や性質を理解してもらおうと活動しています。

私たちは、「バイオマスプラ」や「生分解性プラスチック」を正しく理解し、選択していく必要があるのです。

※2021年7月1日より「グリーンプラ」から「生分解性プラ」という名称に変更されました。詳細はこちら↓↓
https://www.kiracs.co.jp/blog/3338/

3. 生分解性プラスチックの用途をご紹介

3-1. 【生分解性プラスチックの用途1】農業・土木資材

生分解性プラスチックは、自然界へと循環するメリットを活かし、農業土木分野で活用されています。農業においては、作物の株元を覆うためのマルチフィルムとして使用されます。土に還るため、フィルムのはぎ取り作業が不要となり、省力化の手助けとなっています。また、森林で害虫駆除作業に使われる燻蒸シートにも生分解性プラスチックが使用されています。病気になった木に潜んでいる幼虫を死滅させる「伐倒燻蒸」の際、薬剤のガス漏れを防ぐために使われるのが、燻蒸シートです。自然に還るため、燻蒸完了後もシートを回収する必要がありません。

その他、農業用ネットロープ、土のう袋、森林などで使用するマークテープなどにも生分解性プラスチックが使われています。

3-2. 【生分解性プラスチックの用途2】生ごみ収集袋

一般的に生ごみと呼ばれる食品残渣の収集にも、生分解性プラスチックを使った袋が活用されています。これまで、堆肥化工場に運ばれた食品残渣は、機械や作業員の手で袋から取り出されていました。生ごみを袋から取り出す作業は重労働であり、労働環境の悪さ、衛生環境の悪さにも繋がっていました。

それが、生分解性プラスチックを使った袋を使うことで、袋のまま生ごみを処分できるようになり、時間と労力を大幅にカットすることができるのです。さらに、労働環境や衛生環境の改善にも大きく貢献することができます。

民間企業様での採用理由の多くが、労働環境の改善をコスト換算した場合、生分解性袋を採用した方が、メリットになるとの判断があります。
キラックスの生分解性袋は、北海道~九州まで幅広いエリアの食品工場や自治体の生ごみ収集用指定袋としてご採用いただいており、安心してご利用いただける商品となっています。

3-3. 【生分解性プラスチックの用途3】食品容器包装・レジ袋

食品の包装資材にも、生分解性プラスチックを使用したアイテムが登場しています。ドリンクカップ、食品トレー、スプーン、ストローなど、使い捨てとして使用することが多い食品包装資材も、自然に還るグリーンプラを使用することで、環境に配慮することができるのです。

また、生分解性プラスチックを使用したレジ袋が普及してきていますが、その応用として、アパレル業界においてもショップバッグにグリーンプラを採用するなど、企業のイメージアップとしての活用も増えて来ています。
キラックス製のショップバックも高級感のあふれる質感の袋も製造可能で、既にアパレルECサイトでご採用いただいております。

4. まとめ

バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックの違いについて、お分かりいただけたでしょうか?

植物生まれのバイオマス素材を「バイオマスプラ」自然に還る生分解性プラスチックを「生分解性プラ」と呼ぶことを覚えていただけると◎!

キラックスでは、15年以上に渡って生分解性プラスチックを使った製品を開発し、販売しています。
北海道から九州まで全国各地のお客様へ製品をお届けし、さらには欧州・欧米の輸出用袋としての生分解性プラスチック製品も10年以上の実績があります。

生分解性プラスチックを使った商品開発にご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。

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