【実験】生分解性フィルムは本当に分解されるのか?1年間かけて検証してみました!

2026/10/23
環境/SDGs環境製品
#パッケージング・システム事業部#SDGs#環境にやさしい#生分解性プラスチック
【実験】生分解性フィルムは本当に分解されるのか?1年間かけて検証してみました!

「環境に優しいパッケージ」として最近よく耳にする生分解性プラスチックや生分解性フィルム。
「土に還る」と言われていますが、

  • 実際のところ、どれくらいの期間でどうやって分解されるの?
  • 普通のプラスチックとどれくらい違いがあるの?

と疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。
そこでキラックスでは、1年間にわたる「土中埋設・分解比較実験」を行ってみました!

本記事では、1年間(12ヶ月)にわたる実験のリアルな経過写真とともに
生分解の様子や検証結果をわかりやすくご紹介します。

環境に優しい資材に興味のある方は、ぜひ覗いてみてください。

1.「生分解性フィルム土中実験」の概要・準備

まずは、今回の実験の目的や仮説、準備した資材についてご紹介します。

1-1.実験の目的と「こんな使い方できるかな?」の仮説

本実験は、
「生分解性プラスチックって、本当に土の中で分解されるのかな?」
という社員の素朴な疑問からスタートしました。

加えて、もししっかり分解されるなら
暮らしの中でこんな便利な使い方ができるかも!という仮説も立ててみました。

「庭に埋められる生ごみ袋」
野菜くずなどの生ごみを袋に入れたまま庭の土に埋められたら
ゴミ出しも楽ちん&自家製コンポストになるかも?

「そのまま植えられる苗袋」
苗を袋ごと土に植えられれば、根を傷つけずに済み、植え替えの手間が省けるかも?

1-2.実験のサンプルと8つの準備キット

検証のために、以下の2種類の袋状サンプルを用意しました。

  • 生分解性樹脂ラミネート紙(袋状)
    →薄い紙(薄葉紙)の内側に生分解性樹脂を貼り合わせたもの
     ※以下「生分解性樹脂」とする
  • 汎用ポリエチレン(PE)樹脂ラミネート紙(袋状)
    →薄い紙(薄葉紙)の内側に一般的なポリエチレン(PE)樹脂を貼り合わせたもの
     ※以下「汎用PE樹脂」とする

ちなみに…
汎用PE樹脂のサンプルは、自社で製造している「バーガー袋」を使用しています!
〇バーガー袋の紹介記事はこちら

■準備した8つの実験キット

【検証用キット(生ごみあり)】

  • 生分解性樹脂 + 培養土&腐葉土 + 生ごみ等 × 3   
  • 汎用PE樹脂 + 培養土&腐葉土 + 生ごみ等 × 3

【苗キット】

  • 生分解性樹脂 + 培養土&腐葉土 + 観葉植物 × 1   
  • 汎用PE樹脂 + 培養土&腐葉土 + 観葉植物 × 1   

※後にハプニングが発生したため、 苗キットは
「生分解性樹脂/汎用PE樹脂 + 培養土&腐葉土(生ごみなし)」
として観察を続けることになりました。

1-3.実験環境と設置場所

土の中の微生物に活発に働いてもらい、実際のコンポストに近い環境を作るため、
以下の手順でプランターをセットしました。

※コンポストとは
家庭から出る生ごみや落ち葉などの有機物を、微生物の働きを利用して発酵・分解し、堆肥(たいひ)にする仕組み・設備のこと。

  1. プランターに培養土とバーク堆肥入り腐葉土を混ぜて入れる
  2. 微生物のエサとなり、分解を促すための生ごみ(野菜くず等)を混ぜ込む
  3. 微生物が活発になる「高温多湿」の環境を保つため、定期的に水やりをし、穴あきのカバー袋をかける
  4. 日当たりのいい3階の屋上にプランターを設置

2.1年間の実験経過レポート

実験のスタートは 2025年7月1日。
ここからは、実験キットの観察記録を時系列で追っていきます!

2-1.【ハプニング!】実験スタート翌日に苗が…?

実験開始の翌日、さっそく予想外のハプニングが発生しました。
苗キットとして植えた観葉植物が、なんとたった1日で枯れてしまったのです…!

原因を調べてみたところ、2つの要因が考えられました。

  1. 屋上設置による、夏場の過剰な「高温」環境 
  2. 底に水抜き穴がない袋だったため、水が溜まって根腐れしたこと

そこで…
設置場所の変更(3階屋上から1階中庭へ)を行いました。

当初は高温多湿を作るため「屋上の日なた」にプランターを置いていましたが、
夏の強い日差しで過剰な高温になってしまいました。

そのため、翌日すぐに「中庭の日陰」へ移動させました。

このハプニングから、仮説に挙げていた「そのまま植えられる苗袋」は、
袋のまま使うと通水性や通気性が悪く、植物が育ちにくいという苦い学びを得ました。

なお、枯れてしまった苗キットは「生ごみを入れない、土だけの埋設キット」として再定義し、
水やりのみを行いながら1年間埋めたまま観察を続けました。

2-2.【2カ月経過】早くも強度に変化が…!

■2025年9月初旬(2か月経過)
周りの土を取り除いて袋の外観を確認しました。
外側の紙部分は水分を含んで柔らかくなっていましたが、紙はちぎれていません。

2カ月前に入れた生ごみは全て土に還っており、土は常に湿った状態です。
この時点で、生分解性樹脂のほうが紙・フィルムともにあきらかに弱くなり始めていました。

  • 生分解性樹脂:目立った破れはないものの、わずかな切れ目ができ、少しの衝撃で破れそうな状態に。
  • 汎用PE樹脂:袋に亀裂はなく、しっかりとした形をキープ。

2-3.【4カ月経過】明らかな強度の差

■2025年11月初旬(4か月経過)
さらに時間が経つと、両者の差はよりはっきりと現れました。 

  • 生分解性樹脂:土の重みに耐えきれず大きく破れる袋が出てきました。土から掘り出そうとすると、ホロホロと崩れてしまうほどの脆さに。触った質感は「パリパリ」としていました。
  • 汎用PE樹脂:あまり変化が見られず、押しても破れる気配がありません。触ると「ぶよぶよ」と弾力がありました。

▼土から掘り出した比較用キット

▼比較用キットの内のラミネート部分(4か月経過)

冬季は高温環境が作りにくくなりますが、
微生物を活性化させるために再び生ごみ(柿のヘタと皮、バナナの皮、ズッキーニのヘタ、にんじんの皮など)を混ぜ込みました。

2-4.【6カ月〜10カ月経過】原型が崩れ始める生分解性樹脂

■2026年1月初旬(6か月経過)
半年が経過する頃には、袋の見た目に大きな変化が現れます。

  • 生分解性樹脂:外側の紙はほとんど分解されて消えていました。土の中からフィルムの破片を拾い集めるのがやっとで、袋としての原型はほぼなくなっています。
  • 汎用PE樹脂:水分を含んだ重い土が入っていても破れず、きれいに掘り起こせました。

▼土から掘り出した比較用キット


■2026年3月初旬(8か月経過)

▼土から掘り出した比較用キット

▼8か月目で見られたその他の変化
これまで見られなかったコケやカビが発生し、小さな虫も多く見られるようになりました。
微生物が活動しやすい湿った環境が保たれていることが伺えます。


■2026年5月初旬(10か月経過)

汎用PE樹脂キットは、依然として袋の形をしっかり保っています。
全体的に柔らかくはなっているものの、湿った土の中に10か月埋め続け、時々出し入れしても破れないようです。

ここで再び微生物を元気にするため、
生ごみ(アスパラガスの皮、レタスの芯、にんじんの皮など)を補給し、水をたっぷりあげました。

2-5.【12カ月経過】最終結果!

■2026年7月初旬(12ヶ月経過)
ついにスタートから1年(12か月)が経過し、土の中のすべてのサンプルを取り出しました!

  • 生分解性樹脂:土の中で細かくバラバラになり、原形をとどめない状態まで分解・崩壊が進んでいました。
  • 汎用PE樹脂:全体的に柔らかくはなっているものの、12カ月経過しても袋の形をしっかり維持。重い土が入ったままでも破れずきれいに取り出せました。

▼汎用PE樹脂キットに着目すると…

▼土の様子
前回入れた生ごみはきれいに分解されて残っておらず、代わりにカビやコケが発生していました。

2-6.1年間埋めたままの苗キットはどうなった? 

途中で枯れてしまい、1年間掘り起こさず、生ごみも追加しなかった「苗キット」も掘り起こしてみました。

  • 生分解性樹脂:破れてはいるものの、袋の形が一部残っていました。
  • 汎用PE樹脂:1年間湿った土の中に埋まっていたにもかかわらず、手で持ち上げても袋の形を保っていました。

他のキットと比べて生分解性樹脂のフィルムが残っていた理由として、以下の2点が考えられます。

  1. 生ごみを追加していなかったため、微生物があまり発生せず分解が緩やかだった
  2. 途中で掘り出す作業をしなかったため、袋に物理的な負荷がかからなかった

3.実験から分かった考察とポイント

1年間の追跡実験を通して見えてきた、生分解性フィルムのリアルな特性をまとめました。

3-1.微生物の元気よさが分解スピードのカギ!

生ごみを追加して微生物を元気にさせた土では分解がどんどん進みましたが、
生ごみを入れなかった「苗キット」では1年後も袋の形が残っていました。

このことから、生分解性プラスチックは単に土に触れるだけでなく、
「水分・適度な温度・活発な微生物」が揃った環境下で初めてスムーズに分解が進むことがわかりました。

3-2. 汎用PE樹脂との違い&コンポスト環境の重要性

汎用PE樹脂は、水気や微生物の影響を受けにくいため、土中に長期間あっても丈夫なままでした。
一方で生分解性樹脂は、適切な環境下に置くことで徐々に強度が落ち、
最終的に自然界(水と二酸化炭素等)へ還っていく性質が確認されました。

ちなみに…
日本バイオプラスチック協会によると、「一般的には廃棄後、有機性廃棄物と共に大型堆肥化装置に投入すると短期間で生分解するように設計されている」とされています。
そのため、コンポストでない庭などの自然な土壌では分解のスピードがゆっくりになります。
すみやかに水と二酸化炭素レベルまで完全分解させるには、設備などの適した環境が必要なようです。

4.実験のまとめ

1年間の実験結果と、今回の気づきのまとめです。

<実験の結果>

今回の1年間の実験では、「目に見えない小さな破片になるレベルまでの分解(崩壊)」を
しっかり確認することができました!

完全に「水と二酸化炭素」にまで分解されるにはもう少し時間がかかりそうですが、
着実に自然へと還るステップが進んでいることがわかります。

 

<仮説の振り返りと反省点>

  • 「庭に埋められる生ごみ袋」
    →生ごみと一緒に埋めることで微生物が活発になり、しっかり分解が進むため
    コンポスト用途との相性は抜群です!
  • 「そのまま植えられる苗袋」
    →袋状のままだと水が溜まりやすく、蒸れて苗が枯れてしまいました。
     苗袋として使うには、底に水抜き穴を開けるなどの工夫が必要そうです。

▼実験に使用した全キットまとめ(12か月経過時)

▼1年間のダイジェスト(動画)

5.環境対応パッケージのご相談はキラックスにお任せください! 

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

失敗もありましたが、
「どんな条件で分解が進むのか」「どんな使い方が向いているのか」
をリアルに体感できた実験となりました。

今回の実験結果の通り、
生分解性素材は
適切な使用環境や捨て方、用途を見極めて活用することが非常に大切です。

キラックスでは、今回実験を行った生分解性樹脂ラミネート製品をはじめ、
環境負荷を低減する様々なエコパッケージやフィルム資材を取り扱っています。

「自社製品に生分解性素材を導入できるか相談したい」
「用途に合わせた扱いやすい環境対応フィルムを探している」
「こんな使い方ってできるかな?」

などなど、包装資材に関するお悩みがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
専門スタッフがお客様のご要望に合わせて、最適な仕様をご提案します!

 

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